肥満症チェック
体格指数 (Body Mass Index : BMI) と健康障害や内臓脂肪蓄積の有無から、あなたが肥満症である可能性と、注意する点についてお伝えします。ご自身の身長と体重を入力することでチェックできますので、ぜひご覧ください。
監修:
千葉大学大学院 医学研究院 内分泌代謝・血液・老年内科学 教授 /
日本肥満学会 理事長 横手 幸太郎 先生
日本では、脂肪組織に脂肪が過剰に蓄積した状態で、体格指数 (BMI*) 25以上が「肥満」と定義され、さらに高血圧や脂質異常症等の健康障害**や内臓脂肪の蓄積がある場合は、医学的に減量が必要な病気である「肥満症」と診断されます1。
肥満や肥満症に至るまでには、さまざまな因子が複雑に関与しているといわれています2。しかし、肥満や肥満症はこれまで、その要因として食事や運動といった生活習慣と必要以上に結びつけられてきました1。
では実際に、肥満や肥満症はどのように認識されているのでしょうか? 今回は、2023年に行った、全国47都道府県における肥満または肥満症の人を対象とした意識調査3をもとに、肥満と肥満症への認識の実態や、肥満や肥満症に対するスティグマについてご紹介します。
* BMI = 体重 (kg) ÷ 身長 (m)2
** 肥満症の診断に必要な健康障害:耐糖能障害
(2型糖尿病・耐糖能異常など)、脂質異常症、高血圧、高尿酸血症・痛風、冠動脈疾患、脳梗塞・一過性脳虚血発作、非アルコール性脂肪性肝疾患、月経異常・女性不妊、閉塞性睡眠時無呼吸症候群・肥満低換気症候群、運動器疾患 (変形性関節症:膝関節・股関節・手指関節、変形性脊椎症)、肥満関連腎臓病
日本全国の肥満または肥満症の人のうち、自身の体型が健康面から問題と感じることがある人は76.4%と、4人に3人の割合でした。また、減量したことがある人は全体の84.4%に至りました。
一方で、肥満の悩みについて病院に行ったり、医師に相談したりしたことがある人は14.4%にとどまりました。
相談しない理由としては、「肥満は自己責任だと思うから」が32.9%でした。その他の理由には、「医療機関に行くとお金がかかるから」 (22.6%)、「相談するほどの肥満だと思っていないから」 (21.5%) などがありました。
本当に、肥満は自己責任なのでしょうか?
肥満に至るまでには、食事や運動などの生活習慣だけでなく、移動のために自動車を使うことが多いなどといった環境因子や、加齢などによる神経内分泌因子や代謝因子の変化といった生理的因子、遺伝的に肥満になりやすいといった遺伝因子など、さまざまな要因が関係しています2。
このように、肥満には複数の要因が複雑に関与するため、一概に生活習慣や自己管理能力にのみ結びつけられるものではありません。
「肥満の人は自己管理ができない」や「肥満の人は意志が弱い」、「肥満は自己責任」という誤った認識は、肥満に対するスティグマに繋がります4。肥満に対するスティグマは、仕事や教育、医療にも影響します4。例えば、職場で差別的な評価を受けることにより雇用率や社会経済的地位が低下する、学校でのいじめや差別から引きこもるようになる、病院で医療者からの否定的な態度により医療を利用するのに対して消極的になる、といったことが挙げられます4。このようなスティグマを解消するためには、肥満・肥満症に関する正しい知識が普及することが大切です。
今回の調査から、肥満または肥満症の人の多くは自身の体型が健康面から問題と感じており、減量に取り組んだ経験があることが分かりました。しかし、肥満の悩みのために病院に行ったり、医師に相談したりする人は少なく、「肥満は自己責任」とする認識がある現状も明らかになりました。
肥満や肥満症は、一概に自己責任といえるものではありません。肥満や肥満症に対するスティグマを解消するためには、私たち一人一人が、肥満や肥満症に関する正しい知識を身につけていく必要があります。
肥満に関連する健康障害や内臓脂肪の蓄積があり、肥満症に該当する場合は医学的に減量が必要ですが、BMIが25以上でも健康障害や内臓脂肪の蓄積がない場合は、医学的に減量が必要な肥満症には該当しません。自身の体型が健康面で問題なのか、減量が必要なのか気になる場合は、病院で適切な検査を受け、自身の健康状態を正しく知ることが大切です。
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